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特許調査・解析や特許出願・管理、翻訳などの多種多様な知財管理業務の一元管理を目指し IPfolio+SkyVisualEditorで統合システムを開発

記事掲載日:

2026年4月27日

特許調査・解析や特許出願・管理、翻訳などの多種多様な知財管理業務の一元管理を目指し IPfolio+SkyVisualEditorで統合システムを開発

トヨタテクニカルディベロップメント株式会社

従業員数:

1,064名(2026年4月1日現在)

課題:

IP事業部内で140を超えるシステム・ツールが乱立し、業務プロセスの見直しが急務だった

トヨタ自動車100%出資のグループ会社であり、IP(知的財産)事業と計測シミュレーション事業を柱に、自動車関連事業の開発環境構築を支援するトヨタテクニカルディベロップメント(以下、TTDC)。トヨタグループのみならず、幅広い顧客に多様なサービスを提供する同社では、IP事業におけるシステム・ツールの乱立が業務効率化を妨げる要因となっており、業務プロセスの一元管理を目的としたシステム刷新に着手。Salesforceプラットフォーム上で稼働するクラリベイト社の知財管理システム「IPfolio」の導入と合わせて、Salesforceの画面デザインを作成できる「SkyVisualEditor」を採用し、システムの集約と業務改善を進めている。本プロジェクトを主導したIP事業本部の江崎 圭介 氏と秋山 祐佳里 氏に話を伺った。

 

140を超えるシステム・サービスが乱立
煩雑化した業務プロセスの見直しが急務に

──TTDC様が展開されている主力事業の1つ、IP事業の概要と最新のトピックについてお聞かせください。

秋山:弊社では、トヨタ自動車の子会社という立場で、同社の知的財産部を支援する事業を展開しているほか、そこで培った専門知識とノウハウを活かし、特許調査・解析サービスをはじめ、特許出願・管理サービス、翻訳・知財事務・教育・DXツールなど、多様なサービス・ツールを国内外の幅広い企業様に提供しています。公開されている特許情報をもとに競合他社の開発動向を分析し、自社の開発方向性を検討したり、国内・海外における特許・商標・デザインの出願戦略や手続きを支援したりと、企業の知財戦略を強力にサポートします。近年のトピックとしては、SoraIP(ソーラアイピー)という子会社を米国で設立し、米国における特許出願や権利化を行う窓口としてサービスを展開しています。また、AI技術を活用して特許出願支援や特許文献検索等を行うツール「AI Samurai」の開発を行う株式会社AI Samuraiを子会社化し、AI 活用によるサービス強化を行っています。

───今回、IP事業のシステム刷新プロジェクトとして、Salesforceで動作する知財管理ステム「IPfolio」を導入されています。まずは導入前に顕在化していた課題について教えてください。

秋山:これまでは、特許調査・解析、特許出願・管理、翻訳など、展開しているサービスごとに個別にシステム・ツールを使用しており、ワークフローもファイル管理もバラバラで、二重管理が起きたりデータの整合性が取れなかったりと、業務面での課題が山積していました。IP事業では顧客の要求に合わせて納品形態を変えることも多く、顧客ごとにツールを導入するケースもめずらしくありません。さらに複数のシステムをつなぐために新たなツールを開発することもあり全体を把握できていないだけでなく、システムの利用者自体が前後の工程とのつながりを認識していない状況でした。

江崎:プロジェクトを立ち上げるにあたって、IP事業部門で使われているシステムをカウントしたところ、小さなマクロやAccessで作ったデータベースアプリなども含めて、140以上ありました。事業本部として統一されたシステムはなかったため、各部・各室・各グループで個別最適化されていて、それぞれのシステムに入れたデータを、さらに基幹システムに入力するような非効率な作業が常態化していました。弊社では、2030年に向けて「統合ソリューションを駆使して世界で闘うエンジニア集団となる」という方針を掲げていますが、その実現には現状の業務プロセスを抜本的に見直す必要があると判断し、本プロジェクトがスタートしました。

トヨタテクニカルディベロップメント株式会社 IP事業本部 IP事業企画G シニアプロフェッショナルエキスパート 江崎 圭介 氏

柔軟な設計変更に対応することを必須要件とし
Salesforce上で動作する知財管理システムを採用

───「IPfolio」を導入した経緯と目的をお聞かせください。

秋山:前述した課題を解決するためには、知財管理の一元化を図る必要があると考え、ワークフローなども含めて統合的な管理を行える知財管理システムの導入を検討しました。

江崎:先ほど秋山が話したように弊社の業務は幅広く、特殊な要件も多いため、まずは知財管理が行えるシステムの情報を収集し、弊社の要件を満たしているシステムに関してRFI(情報提供依頼)とRFP(提案依頼)を出してもらって絞り込み、コストや使い勝手、実際にユーザーに使ってもらって集めた意見を参考に最終的に3つの候補からIPfolioの導入を決定しました。

秋山:他の製品と比べて、設計変更がしやすいことが採用を決めた要因の1つです。一般的な知財管理システムは、企業の知財部を支援する想定で作られていますが、弊社は、IP事業をサービスとして展開する特許事務所的な業務も行っているため、多様な業務プロセスが存在します。その意味で、柔軟な設計変更に対応したIPfolioの採用は必然的といえました。

───IPfolioがSalesforceのプラットフォーム上で動作するAppExchangeアプリだったことは、選定理由になっているのでしょうか。

江崎:Salesforceに関しては、計測部門など導入されている部署はありましたが、IP事業部門では導入していませんでした。このため、Salesforceを基盤としていることで選んだわけではなく、弊社の要件に合わせて選定したシステムが、Salesforceを基盤とするIPfolioだったというのが正直なところです。とはいえ、結果的にはSalesforceプラットフォームだからこそ、設計変更のしやすさ、つまりカスタマイズ性が担保できた面もあると思っています。

SkyVisualEditorで画面をカスタマイズ
きめ細やかな日付管理・進捗管理を実現

───本プロジェクトでは、IPfolioの画面をカスタマイズするため、テラスカイが開発した画面開発サービス「SkyVisualEditor」が活用されています。導入の経緯についてお聞かせください。

江崎:今回のプロジェクトでは、3つのフェーズに区切り、段階的に導入を進めています。フェーズ1では、統合化されたシステムのリリースを目指し、会計や人事といった基幹システムとの連携などに注力しました。主に受発注の仕組みをメインに開発を進め、2024年10月にリリースしています。そのなかで、IPfolio、SalesforceにおけるUIの限界というものがわかってきて、特許関連業務を本格的に扱うことを目的としたフェーズ2に移行した段階で、ユーザーの利便性向上や、顧客の要望に対応するための取り組みを開始し、画面を開発できる外部アドオンの導入を検討していきました。

秋山:先ほども話しましたが、弊社のIP事業は特許事務所的な側面もあり、単に納品物を作って顧客に納品するのではなく、特許の出願から特許庁とのたび重なるやり取りまでを支援し、サービスとして提供しています。このため、日付管理が非常に細かく、効率的な工程管理を行うためには、画面開発のアドオンが必要になると判断しました。

トヨタテクニカルディベロップメント株式会社 IP事業本部 グローバル事業部 ランゲージソリューション室 1G G長 秋山 祐佳里 氏

江崎:SkyVisualEditorを含めて3つのツールに絞り込み、機能や付加価値、コストなどを考慮して比較検討を行いました。他の2つはExcel画面をSalesforce上に再現するところに特化したツールだったため、画面作成の自由度という面でSkyVisualEditorに優位性がありました。テラスカイに相談し、コストに関しても良い提案をいただき、採用を決定したという経緯です。

───SkyVisualEditorを導入されたフェーズ2の流れを時系列で教えてください。

江崎:2024年10月にフェーズ1が完了、細かな調整を行ってからフェーズ2の開発を本格化し、2025年1月から画面開発ツールの選定を進めていきました。同年4月にSkyVisualEditorの導入を決定して6月に100IDを購入し、本格的な開発に着手しています。我々が基本設計を行い、弊社に常駐しているシステム会社が実際の画面開発、Salesforce内のフローをIPfolioを提供するクラリベイト社が担当し、3社の協業で開発を進めていきました。

───画面の基本設計で工夫したポイントを教えてください。

秋山:出願番号と出願日、登録番号や登録日を隣に配置してセットで管理できるようにしたり、事務担当者と技術担当者を並べて確認しやすくしたりと、担当者と話し合いながら、利便性に考慮して画面を設計しました。先に述べた日付管理に関しても、特許庁の1つの手続きを1アクションといった形で表示されるようにしています。特許庁とのやり取りは期限厳守なので、タスクと進捗状況をビジュアルとして確認できることが重要になります。そこでタスク管理に関しても、予定日や実施日を設定し、1人1人の担当者にタスクを振れるような仕組みを用意しました。タスクに関しては下から順番に埋まっていくレイアウトにして、進捗状況が一目で把握できるような工夫を施しています。

───SkyVisualEditorを使った画面開発におけるテラスカイのサポートについてお聞かせください。

江崎:導入当初に、Salesforceの効果的な運用を支援していただける「プロフェッショナルサポートパック」を導入し、オンライン会議などでさまざまな相談をさせていただきました。現在は、通常のサポートに移行して支援をいただいています。

AI活用による全社横断のデータ利活用も見据えて
知財管理システムを軸としたシステム集約を目指す

───フェーズ2までの取り組みを踏まえた現状の成果と、今後の展望についてお聞かせください。

江崎:会計システムをはじめ、基幹システムとの連携をフェーズ1で実現し、現在進行中のフェ-ズ2では、プロジェクトの目的となる業務プロセスの一元管理と、ユーザーの利便性向上を目指した取り組みを進めている状況です。設計開発はほぼ完了しており、今後は業務シナリオを組んで運用テストを行い、既存システムからのデータ移行を経て、2026年7月に本番稼働を開始する予定となっています。正式リリースに合わせて、ユーザーへの教育や、関連各社への連絡なども実施していきたいと考えています。

秋山:IPfolioとSkyVisualEditorの組み合わせによって、従来の機能を含めて業務プロセス全体を包括する統合型のシステムを構築できたと捉えています。顧客によって納品形態が異なるなど完全に統一化したシステムを構築するのは難しいことは理解していたので、同一のシステムで処理できる部分と、個別のシステムで処理する必要がある部分を切り分けながら、可能な限りシステムの集約を図っていければと考えています。

江崎:フェーズ1の段階ではSkyVisualEditorを導入していなかったので、基幹システムと連携した受発注の画面などに関しても利便性の向上を図っていきます。Salesforceについても十分に活用しきれていないので、Salesforce上にIP事業部が扱うすべてのデータを流し込んでAIを使って分析するなどデータ活用を進めていきたいです。

画面サンプル:SkyVisualEditorでカスタマイズしたアクション画面

画面サンプル:SkyVisualEditorでカスタマイズした特許画面

※この事例は、2026年4月時点のものです。

会社プロフィール

トヨタテクニカルディベロップメント株式会社

所在地:

愛知県豊田市

事業概要:

トヨタ自動車100%出資の技術専門会社。「知的財産」と「計測・シミュレーション」の2事業を軸に、世界トップレベルの開発を支える。知財の権利化や最新機器の提供を通じ、次世代モビリティの価値最大化に貢献する。